■NO 173号 モピ通信(音楽交流特別号)

■NO 173号 2016年7月15日

 音楽交流特別号

編集・発行 : 特定非営利活動法人 モンゴルパートナーシップ研究所 

 

 音楽交流を終えて

「がんばっている子どもたちにもっとチャンスを与えたい」

オトゴンジャルガル先生の言葉がきっかけでこのプロジェクトが始まりました。 モンゴルではクラシック音楽をやるのは音楽学校に通う子どもたち、つまり専門教育を受ける 特別な子どもたち、というのが今までの流れでした。それ以外の一般学校に通う子どもたちが音 楽に接することは、まだまだ少ないのが現状です。経済的に豊かな層も出てきていることから、 その子どもたちの中には個人教授をつけて音楽を習う人たちが出てきてはいます。でも、それは 少数で、音楽を習いたい、習わせたいという一般家庭の親や子が向かうのが子ども宮殿になります。ここでは比較的安い授業料で専門の先生に習うことができるからです。 子ども宮殿の設立は1958年。現在はウランバートル市の管轄です。

2015年度は109名の教職員、30の芸術や外国語の教室があり、約2100名の子どもた ちが通っています。コースは馬頭琴、ピアノ、バイオリン、モンゴルの民族音楽の楽器(笛、琴、 三味線に近い楽器など)、演劇、チェス、絵画、民族舞踊、日本語、英語などがあります。モン ゴルの子どもであれば誰でも通うことができますが、コースによっては選抜されることもありま す。例えばピアノやバイオリンなどは音感を調べたり手の形を見たりするようです。週2回ほど 先生に習っている彼らは、発表の場が限られていますし、プロを養成する音楽学校に行っていな い、それほど家庭が裕福ではない子どもたちが海外に行って弾くということは、ほとんど可能性 がないと言ってもいいでしょう。

「でも、もしもそんなことが実現したら、子どもたちにとってこの上もない経験になると思う。 そんなことをお願いできるところはないかしら」と先生が私たちに相談されたのが昨年でした。

その後、モピの黒板プロジェクト関係でセレンゲ県を訪問されていた奈良学園の西川先生を思 い出し、事務局から相談をしてもらうことになりました。2月に帰国した際に古川校長先生と話 し合いの席を設けていただき、このプロジェクトが動き出し、実現に至りました。

今回参加した子どもたちは奈良学園室内楽部と合奏するハイドンの交響曲「時計」第3楽章で は、全員が第2バイオリンのパートを練習していました。手がまだ小さいために第1バイオリン のパートは無理だそうです。第2バイオリンは主旋律ではないので、一体どんな演奏になるのか、 よくわからないまま練習してきた子どもたちはリハーサルのときに、ああこういう曲なのだとわ かったのではないかと思います。そして、弦楽器だけでなく、管楽器や打楽器などが入って、一 つの曲が作りあげられていく、その中で自分もそれに加わっているのだと感じたと思います。演 奏が終わったあと、オーケストラで弾くの、どうだった?との問いにはすべての子どもたちが 「Goyo baisan」(すごくよかった)と答えていました。それ以上の言葉は出ない感じでした。こ れからもこの世界を感じたいと思ったのではないでしょうか。オトゴンジャルガル先生の言って いた得がたい体験だったのだと思います。

このプロジェクトはたくさんの人たちの好意で実現することができました。先生や子どもたち に代わってお礼を申し上げたいと思います。受け入れを快諾して、一緒にチェロを弾いてくださ った古川校長先生、すばらしい演奏を作りあげてくださった指揮者の上田先生と室内楽部のみな さん、プロジェクトを強力に支援してくださった西川先生始め、奈良学園のみなさま、ありがとうございました。公演以外にも子どもたちが楽しく過ごすために、いろんな面で支援を下さった モピスタッフのみなさん、寄付をくださった団体や個人の方々にもお礼を申し上げたいと思いま す。そして、最後に、一番心配をして、資金調達のために慣れないネットでのクラウドファウン ディングの作業をしてくれた事務局の母に、この場を借りて感謝の気持ちを伝えたいと思います。

また、いつの日か日本とモンゴルの子どもたちが音楽を一緒に奏でられるといいなと思ってい ます。

ありがとうございました。173-1

大阪海遊館にて

(斎藤 美代子)

 

 

 オトゴンジャルガル先生からの感謝の手紙

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モンゴルパートナーシップ研究所の皆さんに感謝の気持ちをお伝えするために、この 手紙を書いています。

みなさん、お元気でしょうか? モンゴルこども宮殿のバイオリン教室の生徒たちに日本で演奏する機会を与えて

くださったみなさん、私たち教師・生徒みんなが心からうれしく思っていることをお 伝えしたいです。子どもたちにとって、一生忘れることのない素晴らしい日々を過ご せたということを確信しています。

みなさんに敬意を表して。

G.オトゴンジャルガルより

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先日、モンゴル宮殿の子どもたちが来日し

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偶然にも娘が通う奈良学園登美ヶ丘校で室内学部 との交流会があり、クラシック親睦コンサートにいきました。 それぞれの国の国歌を演奏したり、合同で、合奏したり、それはそれは、感動でした。言葉や国は、違っていても、音楽を通して、一つになれるのは、 本当に素晴らしいと思いました。 最後に、ふるさとをモンゴルの子どもたちが演奏してく れて、会場もともに、うたいました。 涙があふれそうになりました。 双方の子どもたちにとって、よき体験となり、忘れがた い1日となったことでしょう。 これこそが、文化交流であり、真の国際交流だと思いま した。

ありがとうございました。

(乗本奈穂美)

 

奈良学園での親睦演奏会は、学園の室内楽部の演奏から始まりました。

開始前の前の音合わせから、ホンモノのオーケストラと同じ感じに聴こえ、本格的でした。 「君が代」は大相撲の表彰式で演奏されますから、モンゴルの子供たちにも馴染みがあったので はないかしら。次にモンゴル国こども宮殿音楽教室のメンバーが、色とりどりの民族衣装で愛ら しく登場、目もたっぷり楽しませて頂きました。モンゴルの曲をのびのび奏で、目前に草原の風 景が広がって行くようでした。また、メサイヤのハレルヤコーラスの部分は、思わず歌いたくな ってしまう程の高揚感がありました。

合同演奏では、おもちゃの交響曲の全ての楽章を弾かれたのには、驚きました。 一緒に合わせて練習する時間は短かったことでしょうに、しっかりとけあっていましたね。 おもちゃ担当の日本の生徒さんが、モンゴルの指揮者の先生の指揮棒に合わせて、頑張っておら れた姿が微笑ましかったです。

最後は、日本の「ふるさと」を歌いました。伴奏でモンゴルの子供たちが、日本のこの曲を自 分たちのもののように、弾きこなしていらしたのが印象的でした。

モンゴルの子供たちの健気さに心打たれ、習い始めて2年と聞いてびっくりし、また、奈良学 園の生徒さんたちも、(え!今時?)と 思う程、振る舞いが礼儀正しく、流石と思いました。 そして、それぞれ皆さん一生懸命演奏しておられましたね。

モンゴルと日本の温かい交流が感じられる演奏会、このご縁が続きますように。

お世話下さった先生方、MOPIの皆様、本当に有難うございました。

(中西とし子)

モンゴルから来たみなさんへ

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2 日間、みなさんと一緒にいられて楽しかった です。 音楽会での緊張した様子とは一転、大阪観光で見 せた子どもらしく素直に楽しんでいた姿に安心 し、とても嬉しく思いました。宿舎の 2 階からド タドタとにぎやかな音が聞こえてくるのを 1 階 で聞いているのがとても幸せでした。海遊館もと ても喜んでくれましたね。私は何度も行ったこと があるのに、みんなといった時が一番楽しかった です。心から楽しめる人たちと一緒にいると見る ものが違って見えるんですね。目の前のことに100%、自分はできているのかなあと考えてしまいました。 言葉は通じないのに、ずっと私の隣にいたマルキ、発音を教えてくれたテルゲシ、みんなのお姉 さん役のボインザヤとは何度も目で「大丈夫、みんな迷子になってないよ」と合図を送り合いま した。オトゴンツエツク、バイヤルツェツェク、、、みんなとお話して名前を覚えたかったのごめ んなさいね。でも全員の顔はすぐに思い浮かびます。音楽会でのかっこいい姿とともに。

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音楽会でのみなさんの堂々とした演奏が印象的でした。 これからの人生、楽しいことが多すぎて来日のことは忘 れてしまうかもしれないけれど、あの日、確実にみんな の体に蒔かれた種は 10 年 20 年後にぴょこっと芽を出す でしょう。そう確信したから、みんなに会いに行きまし た。そう信じた人たちとともにこの音楽会のお手伝いが できて良かったです。これからの活躍を日本から応援し ています。

(徳山理沙)

 

 

 事務局から

おつかれさまでした。不可能と思われていたことを可能にしてしまいましたね。 参加した方々が満足できてよかったです。

(小長谷有紀)

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沢山の方々の気持ちがひとつのうねりになり、音楽交流事業を可能にすることが出来ました。子どもた ち一行の笑顔がすべてを物語っています。記録に残る事業が達成できたこと、関係していただいた方々、 支援して下さったみなさまに感謝申し上げます。尚、この事業を受けるにあたって黙って見守り、気遣っ ていただいたモピ理事長の寛大さに敬服しています。

モンゴルのこどもたちと奈良学園中・高等学校室内楽部による

合同演奏交響曲第101番 “時計”より第3楽章/ハイドン

(斎藤 生々)

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MoPI通信編集責任者 斉藤 生々

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