■NO 191号 2018年3月1日
編集・発行 : 特定非営利活動法人 モンゴルパートナーシップ研究所
ゆうちょ財団による国際協力参加レポート
『Voice from Mongolia, 2018 vol.41』
ノロヴバンザトの思い出 その83
モンゴル学習支援事業報告
モピ例会&新年会報告
編集後記
ゆうちょ財団による国際協力報告会参加レポート
(日時 :2018年2月5日 大阪第一ホテルに於いて)
(村上 雅彦)
【概要】
旧郵政省時代、郵便貯金の受取利息の一部を寄付金として海外で活動する民間援助団体 に配分する制度が1991年1月に設立、2007年9月の郵政民営化によりこの制度は終了。この時点の残高が約21億円あり、これを独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が 引き継がれ、JICA(國際協力機構)経由で従来同様民間援助団体に配分してきた。20 14年度に国際ボランティア貯金の寄付金配分がほぼ完了 その後、ゆうちょ銀行では、通常貯金、及び通常貯蓄貯金の利子のうち税引き後の20%相 当額が寄付金となって「ゆうちょ・JICA ボランティア基金」として、他の基金と合わせて開 発途上国の環境保全・生活向上に活用されている。
100型基金 :毎年一件当たり100万円を10案件を限度とする。
200型基金 :毎年一件当たり200万円を3団体程度を限度とする。
【モンゴルパートナーシップ研究所による実績】
遊牧人のための教育環境の整備と技術指導を目的に2008年から、2010年の3ヶ年 間、ウランバートルの北ロシアの国境のセレンゲ県・ズーンブレン村“デンベレル12制学 校に日本より小学校の先生方を派遣。時期は日本の夏休みを活用し、近畿地方在住の小学校 の先生方、1、2年目は5名の先生、3年目は4名の先生を派遣しました。
各年先生方には1周間現地に滞在して頂き、モンゴルの先生・子供たちに日本での勉強の 指導方法を披露して、現地先生方との意見交換をしていただいた。
尚、学校の近辺に宿泊施設がなく、校長先生の好意で小学校の教室で宿泊した。食事は事務局 が担当した。
学校との交渉、あらゆる下準備、細やかなサポート等々現地スタッフ、ムーギーさんと斉藤美 代子さんによる縁の下の協力がなければこの事業は実施できなかったと思う。
数年後にオンドルマー校長先生を初めての日本に招待しました。3年間の協力に感謝して モピ理事の発案で実施した。一週間滞在の際、奈良学園小学校の授業参観などもありました。
ゆうちょ事業3年目に参加していただいた西川栄子先生のご縁で、奈良学園小学校でモンゴ ル支援学習事業を行っています。8回目の事業を今年も終わったところです。モンゴルの子 どもたちとの音楽交流を受け入れていただいたのも奈良学園でした。ゆうちょのボランティ ア基金が現在もいきています。
詳細は、モピ通信アーカイブより過去のデーターを参照してください。
【平成29年度 ゆうちょ・JICAボランティア財団による援助実績】
1.団体名:NPO法人 アイキャン 助成事業:フィリピン初の路上生活者の雇用と教育機会を創出ために、マニラ首都圏の 大学内にオープンしたカフェの運営からパン作りなどの技術訓練をする。
2.団体名:公益社団法人 アジア協会アジア友の会助成事業:ネパールにおけるバイオガ スプラントの建設/環境保全教育。
3.団体名:NPO法人 アジアの子供たちの就学を支援する会
4.助成事業:最貧困家庭の母親たちによる子どもの教育費のため縫製活動。
5.団体名:NPO 法人國際開発フロンティア機構
6.助成事業:フィリピン農村女性にモリンガ栽培・加工利用を指導し収入向上と栄養善。
7.団体名:NPO 国際交流の会とよなか
8.助成事業:ネパールにおける女性の自立支援・子供の栄養改善。
9.団体名:NPO 国境なき子どもたち
10.助成事業:フィリピンスラム地域の教育支援。子供保護事業
11.団体名:NPO 法人シャプラニール=市民による海外協力の会
12.助成事業:バングラデシュ・ダッカでの家事使用人として働く少女支援。
13.団体名:スリヤールワ スリランカ
14.助成事業:津波被害者のための託児所修繕
15.団体名:NPO 日本國際ボランティアセンター
16.助成事業:ガザ地区における子供の栄養失調予防及び地域保健推進員の研修事業。
17.団体名:NPO 日本ハビタット協会
18.助成事業:ラオス、ルアンババン県の学校における養鶏による給食及び生活環境改善業。
19.団体名:NPO リボーン・京都
20.助成事業:ルワンダ共和国キガリ市での洋裁訓練・フェアートレード事業、フォローアップ指導。
【NPO法人 リボーン・京都の発表概要】
目的は、日本全国より寄贈された古い着物を活用して洋裁と織物の技術指導を通し途上 における女性と若者の精神的経済的自立の為設立。
1979年、カンボジアの難民救済からスタートし、ベトナム、ラオス、ヨルダン、 ルワンダ、イエーメン、スリランカまで拡大し活動している。現在では、彼等の縫製した 製品の完成度が高く、フェアートレード事業として(阪急梅田、JR 伊勢丹京都、高島屋京 都、ワシントン DC,ボストン、ハワイでも出展販売している。収益金は現地に還元。之まで 種々失敗と困難な事態を経験されるも、現在は工業用ミシンまで使用し、又国により現地 草花を使った染色まで行うまで技術向上ができている。この事業の成功は、経験豊富な京 都のおばさま方のボランティアに加え大学・大学院で織物を研究した若い女性の加入が力 となって NPO 法人として採算のあった事業を展開されていることに感銘を受けた。
尚、当日提供された資料等は、事務局に送っております故、興味のある方は事務に問い 合わせてください。
『Voice from Mongolia, 2018 vol.41』
(会員 小林志歩=フリーランスライター)
(生徒の健康問題は?との問いに)
『歯とのど。甘いお菓子や飲み物が普及して来たために虫歯が激増した。歯磨き指導はして いるが、ソムには歯科医がいない。遠い町(県)まで連れて行ってもらえる子どどもは少ないです』 ーアルハンガイ県チョロート郡学校の校医
先日、帯広在住のモンゴル人の友人のところに、モンゴルからお父さんがやって来た。5 0歳代後半、道路技師だというお父さん、「若く見えますね」と言う私にはにかんで微笑んだ。 その口元には、ずらりと並んだきれいな歯がのぞいていた。
モンゴルの草原に行くと、人々の歯のきれいさ、健康さを感じることが多かった。とりた てて熱心に歯磨きをしている様子もないのに。カルシウムの豊富な乳製品を先祖代々、食べ ているから、と人々は言っていた。大人も子どもも、自分には到底歯がたたない固さのアー ロール(発酵乳を脱水し、乾燥した乳製品で保存食)を常に口にしていた。
ウランバートルではホームステイ先でも、親族の年配の女性に「そんな歯でかわいそうに」 と同情されたことがある。おっしゃるとおり、私は小学生から虫歯の治療に通い(昭和の歯 医者さんは愛想なくて怖かった!)、銀歯もあるし、歯並びも良くない。私たちとは長年の食 生活が違うから、歯の質が違うんだ…というニュアンスだった。
なのに、今のモンゴルでは歯の健康が社会問題になっている。2018年1月の現地報道 によると、「モンゴル国保健省によると、モンゴル国内で虫歯の感染率は5-6歳で94%、 12歳で84%に達した」。モンゴル人家庭に行くと、必ずキャンディーやチョコレートが器 に盛られて出て来るし、幼い子どもたちも手を伸ばす。ペットボトルの清涼飲料をがぶ飲み している。その多くが炭酸飲料である。大人でもコカコーラを好む人の比率が、本場アメリ カ以上に高いのではないか。
平成の日本では歯のケアが重要という考え方が浸透し、虫歯の子どもは私たちの頃よりず っと減っただろう。「イクメン」の夫が、赤ちゃん時代から最近まで寝る前に「あーん」させ て歯磨きを頑張った甲斐あってか、小学生のわが子達も虫歯がない。
歯が痛いときの辛さ、それにも増して対処してもらえないことの辛さ。症状は悪化するし、 対処してやれない家族も辛いだろう。チョロートソムはアルハンガイ県の西に位置し、県の 中心であるツェツェルレグまでは百キロメートル以上ある。
私の住む北海道・帯広市は人口17万人足らずだが、歯科医は100軒以上ある。周辺の 各町村にも1~3軒程度はある。日本やドイツなどの外国の歯医者さんたちによるボランテ ィア診療の取り組みも続けられている。できれば、どなたか、機材一式持って、モンゴル中 を流し営業してくれたらいいのに、と思ってしまう。
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「今月の気になる記事」
ツァガーンサル(旧正月)の後は春――。長く、凍てつく冬を耐える北国にとっては待ち 望んだ季節の到来とはいえ、モンゴルの春は日本人が「春」から連想するうららかさとは 程遠い。骨身にしみる冷たい風が吹き荒れる中、次々に産み落とされる新たな生命を迎え る、気の抜けない季節だ。以前、旧正月に地方の牧民宅を訪ねたことがある。お祝いもそ こそこに出産を控えた母羊を見守る牧民の姿があった。地方各県の現状を伝える記事をお 送りする。
各県知事:冬を越える困難が大きく、春も厳しくなる見込み (筆者:Ts.タミル)
昨日、政府庁舎に21県の県知事、県議会議長らが集まり、首相と政府関係者と時事問 題について意見交換した。各県知事らから今冬の状況を聞き取ったころでは、18県の1 26ソムでツァガーンゾド(積雪による気象災害)になっているという。
ヘンティー県知事 N.ガンビャンバ:
今季は県内の大半で、家畜の飲み水となる程度の雪し かない。東部の各県では全く雪がないか、飲み水にも事欠く程度の雪しか降っていない。 昨冬のあの大雪を思えば、雪がないに等しい県もある。ヘンティーでは440万頭の家畜 が冬を過ごし、88のバグに牧民世帯は7千800世帯を数える。近年の冬に比べて、雪 が少ないために草が生え方も良くない。県内の5ソムでは雪が多く降り、積雪が12セン チに達して、冬を乗り越える苦労が増している。現時点で、バヤンウンドゥル、デルゲル ハーの両ソムでは蹄のゾド(訳注:他地域からオトル=より良い草を求めて長距離放牧に 出かける牧民が多く来て、草が足りなくなる)に陥る恐れがある。牧民、オトルに来る人 ら、百世帯あまりが移動して来ている。これほど多いと、冬を越えるのが厳しくなる可能 性が高い。さらに気温が下がると、冬営地がしばれ、流産が増えることになる。
フブスグル県県知事 L.ガンボルド:
雪は少ない。この冬は、夏に干ばつで草の育ちがひどか った影響が出ている。県内には520万頭の家畜がいて、放牧地の許容量を越え、草地の 荒廃が進んでしまっている。この状況では冬越えに加え、春を乗り越える困難が予想され るため、牧民に安価に干し草や飼料を供給する取り組みを続けている。県庁の各組織と民 間企業で、牧民を支援し、春をリスク少なく乗り切れるような措置を取る。県の緊急用備 蓄に250トンの濃厚飼料、7百トンの粗飼料や乾草がある。ゾドになっている各ソムの 牧民に、百トンの濃厚飼料、4百トンの粗飼料を半値で販売している。
ホブド県知事 D.ガルサンドンドグ:
一部ソムでは低地で6-8センチの積雪がある。平地 では5-6センチ、山がちなところで20センチ程度あり、雪の被害の懸念がある。県内 の2ソムでゾドに近い状態であり、今後さらに降ればゾドとなり、冬越えが厳しくなるか も知れない。県庁と各ソム役場の指導で、ゾドに近い状態の地域に作業班を組織し、現場 を調査した。県の乾草や飼料備蓄は底をついている。2万2千頭の家畜を既に失っている。 この何日かで土が凍結し、牧民は厳しい状態にある。
ドルノド県の県議会議長 L.ヒシグトグトフ:
この冬は、地域差が大きい。ハルハゴル、マ タドの両ソムでは厳しい状況だ。県やソムに備蓄すべきとされた1582トンの乾草、4 80トンの飼料に対し、1915トンの乾草、480トンの飼料を準備して冬越えのため に供給した。この備蓄と県、ソムの緊急備蓄から13トンの乾草、78トンの飼料をハル ハゴル、マタドソムで消費した。オトルで県内にやって来たのは14世帯いる。ツァガー ンゾドのところが多い。県庁所在地の北部に位置する7ソムでは雪がなく、まったく降ら なかった。これでは冬だけでなく、春を乗り切るのが困難になりそうだ。雪がないので乾 燥がひどくなり、火災にもつながる。春の風や砂嵐もひどくなる。そんな中家畜が出産シ ーズンを迎える。湿気がないため、草の育ちもよくない。こうした春越えの厳しさが懸念 される。
ドルノゴビ県県知事 T.エンヘトゥブシン:
昨夏は全域で干ばつ気味、もしくは干ばつにな り、一部ソムでは草の状態がよくなかった。よって放牧地の許容限界を越えているソムが ある。大部分の地方で雪はそんなに降らなかったので、ゾドにはならなかったが、春の厳 しさが予測されている。
ゴビアルタイ県県議会議長 T.ガンゾリグ:
今年は冬越えが厳しいため、県や各ソムの備蓄 が底をついている。国の備蓄からの乾草や飼料を、可能な限り、各ソムに割り当てた。特 に厳しい状況にある県、ソムに赴いて業務にあたることも目指している。多くの地域で気温が下がり、雪が降って、冬越えに影響している。現時点で、県内で 1 万4千頭の被害が 出ている。今年の県内頭数は380万頭、県内で十あまりのソムがゾドに近い状態にある。
ザブハン県知事 D.バトサイハン:
昨夏、県の面積の半分が、干ばつ気味や干ばつ状態だっ た。現時点で24ソムのうち14がゾドになっている。厳しい状態のソムを訪れて来たと ころだ。10日あまりで、11ソムの29バグを巡り、2千人の牧民と顔を合わせて話し 合った。雪が多く、草が少ないため、厳しい状況だ。また気温が下がり、一部地域では地 表の温度が零下 51 度を記録しており、寒さの影響もある。以前は牧民のゲルでは飼料をよ く準備して備えたので、冬越えが無事出来ていた。この冬は積雪が30-40センチのとこ ろもある。寒さが増し、気温が下がったのも影響している。県下ではツェツェンオール、 オルガマル、ザブハンマンダル、エルデネハイルハン、サント、アルダルハーン、ドゥル ブルジンなどの各ソムが厳しい状況。
トゥブ県知事 J.バトジャルガル:
厳しい状況だ。県内19ソムでゾド、8ソムでゾドに 近い状態。昨年12月27、28日に降った大雪や吹雪の積雪が今日になっても大方残っ ている。日々風が低く吹き荒れている。牧民は家畜を分けて、追加の飼料を与え、乾草や 飼料の供給も減っている。県の緊急対策委員会が召集され、1月初めにソムの備蓄飼料と 乾草を牧民に販売する指示を出した。1月20日にも再度協議し、県の備蓄にある乾草の 50%、飼料の90%を販売するよう指示した。各ソムの家畜数と災害の程度により分配 し、必要な対応をした。政府協議により、先ごろ国の備蓄からも一定量の飼料が供給され、 関係ソムに引き渡す業務が続いている。概して現状は厳しい。今注目しているのは、弱っ た家畜に与える、また予防のための栄養補給成分入り飼料や錠剤。こうしたものが必要だ。
ダルハンオール県知事 C.ナサンバト:
ここ何日か、非常に気温が下がった。それがなけ れば暖かい良い冬だった。県内では今のところ困難な地域はない。県やソムの備蓄は出し ていない。行政の幹部がソムを視察したが、この程度の気象状況で行けば苦労はないとの ことだった。春の数か月に荒れなければ問題なさそうだ。わが県には乾草や飼料の備蓄が ある。遠方からのオトルや移動して来る牧民にはまず必要な医療サービス、医薬品の供給、 緊急用の県の備蓄から資金を出して、給油所と契約して派遣給油、燃料補給するなどの措 置をした。必要とされる関連業務を順調に完遂したので無事冬を越せるだろうと考えている。
ウブルハンガイ県知事 G.ガンボルド
うちの県では冬越えは厳しい状況で、特に10の ソムで困難となっている。574万頭で迎える冬だが、これは放牧地の許容する頭数の3 倍にあたる数。増してや夏に草の生育が悪かったこともあり、厳しい状態だ。国の緊急対 策委員会長のシャダル大臣、農牧業大臣を長とする対策斑も2、3回来て対応された。県 内には85万頭の家畜がオトルに出かけている。オトルに出かけた牧民が無事に過ごせる かという問題は非常に重要だ。家畜はやせて、流産も多い。オトル先にいる牧民をその県 が追い出さずに受け入れてもらうよう、当県からも当該県の医療機関に一定額の資金を送 っている。オトルの牧民にとって、まきや燃料の確保に苦労する。この問題に対応するた め、民間企業が石炭を無料で配送させた。シャダル大臣が現地を訪れ、乾草820トンを 無償で、飼料800トンを半額で販売することになった。牧民にとっては大きな助けとな る。とはいえ、1 万6千世帯で分けると、乾草2包、飼料が半袋となる。
バヤンウルギー県知事 A.ギリムハン:
年明けから多くの地域で寒さが非常に厳しくなっ ている。夜間の気温が零下40度以下になっているソムもある。昨年は干ばつだったから、 雪はそれほどでないが、冬越えを困難にしている。牧民に6万3千トンの乾草を準備して 一定の効果はあった。シャダル大臣らの対策班が現地へ行き、450トンの乾草や飼料を 供給したのも支援となった。県内には220万頭の家畜がいて、年明け以降に2千500頭あまりが失われたとの数字がある。各ソムではゾドの恐れが広がり、県から対象ソムに は147トンの乾草と30トンの飼料を運んだが、大半が使い果たしている。県内10ソ ムで深刻な状況で、その後の春も厳しいものになると見ている。
スフバートル県知事 Z.エンフトゥル:
今年、県では7-13ソムで雪によるゾドになった。 他県では例年どおりのところもあるが、南東や北西に位置するソムでゾドになっている。 全体的に冬越えは厳しく、県からは飼料や乾草を運んだが既に使い尽くした。1150ト ンの乾草、141トンの飼料を準備したが、そこをついて、厳しい状況のソムでは緊急措 置を取る必要が生じている。
セレンゲ県知事 Sh.オルギル
県内の7-8ソムでゾドになっている。その他、大半のソ ムで困難な状況にある。政府から 1 万包の乾草、40トンの濃厚飼料を供給してもらい、 深刻な状態のソムに届けている。今後もさらに雪が降れば、2-3ソムがゾドに陥りそう だ。増えそうだ。県内には150万頭の家畜がいるので、この先さらに状況が悪化しない ように各ソム役場が対応している。
バヤンホンゴル県知事 G.バトジャルガル:
平野部の12ソムで厳しくなっている。積雪量 は多くないが、夏に草が育たなかったことが響いている。野には家畜の食べる草がなく、 ソムや個人の乾草や飼料備蓄も尽きている。先ごろ、政府から県に対し500トンの乾草 を無償で、910トンの飼料を半額で供給されることになり、何とか冬が越せる状況にな るかと思う。これは非常に実際的な支援、助けだ。
ウムヌゴビ県知事 N.ナサンバト:
ウムヌゴビ県では昨年夏から秋にかけての少雨で干ば つに見舞われ、牧民はオトルに出かけ移動先で冬を迎えている。県やソムの備蓄は既に使 い尽くした。5ソムで困難な状況にある。ソムのために580トンの乾草を準備したが、 足りなかった。冬越えに加え、春に困難な状況になることが予想される。
アルハンガイ県知事 Ts.ムンフナサン:
厳しい状況で、備蓄は全て底をついている。先ご ろ、政府から480トンの飼料が供給されることになった。乾草は無償で、飼料は半額で 調達され、輸送費を地方政府が負担し、ソムに分配する作業を進めている。秋にいくつか のソムに分配して備蓄しておいたのが、降雪時に役立った。雪がなくなってもその下の草 が乏しいので春を乗り切るのが困難になると見ている。その対応にあたっている。ソム長 らも支援で調達された乾草や飼料の他にも乾草を購入して分配する予定だ。飼料は足りる が、乾草が不足していると牧民が言っている。
ドンドゴビ県知事 O.バトエルデネ:
今年は県内で口蹄疫が発生し、立ち入り禁止を設けざ るを得なかった。とはいえ、口蹄疫が発生した4ソムでは国からのワクチン調達が中断し たことにより、必要な措置が出来ていない。冬を越えるのに問題はないが、ドンドゴビ県 内には、11県62ソムから425世帯、43万6千頭の家畜がやって来て冬を迎えてい る。放牧地の許容を越える頭数なので厳しい状況になる恐れもある。県下の家畜数は35 0万頭である。
(ウェブサイト・メデー http://medee.mn/main.php?eid=102956 2018年1月31日)
(原文・モンゴル語)
(記事セレクト&日本語訳:小林志歩)
※転載はおことわりいたします。引用の際は、必ず原典をご確認くだ
ノロヴバンザトの思い出 その83
(梶浦 靖子)
思想信条に関する配虐
もう一つ、モンゴル音楽を紹介あるいはみずから演奏するなどの活動にあたっては、自身 の政治的・宗教的その他の思想信条を持ち込まないよう気をつけるべきだろう。社会人にな る若い人が、人と会話する際の注意として、政治や宗教、野球の話題は口論になりやすいの で避けるよう、親や先輩からアドバイスを受けることがあるらしい。それと似たことだ。
人それぞれどのような政治的立場をとり、どんな信仰を持つのも自由であるが、それはモ ンゴル音楽やモンゴルの音楽家、モンゴルの人々とは関わりのないことだ。モンゴルの国全 体としての方針があるだろうし、モンゴル国民一人ひとりの考えもまちまちだろう。 それを紹介者の考えや都合で勝手に色付けして良いはずがない。そのようにされた側にとっ ては迷惑となりかねない。僭越に過ぎるというものだろう。
何より、特定の政治色、宗教色を付けてしまうと、それが理由でその音楽を拒絶してしま う人も少なからずいることだろう。初めから特定のグループの人々を遠ざけてしまう。 実に勿体ないことではないか。私は、思想信条にかかわらず、できるだけあらゆる人々にモ ンゴル音楽に親しんでほしいと思う。音楽など芸術はできるだけ特定の政治的立場や思想信 条から自由であるべきだと考える。モンゴル音楽に関わりを持つ人も、ぜひその点に留意し てくれることを願う。
自分のブログやホームページを持ち、そこでモンゴル音楽について語る人も増えてくるこ とと思うが、自身の思想信条について述べる場合は、たとえば別にブログを設けてそちらで 発表するなどの配慮をすべきではないかと思う。それら複数のブログ間にリンクを貼るかど うかも、一考を要する問題な気がする。
再びモンゴルへ
留学から戻り、ノロヴバンザドの日本公演を手伝うなどする中で、前節まで述べたような ことを漠然と考え、ある程度じぶんの意見としてまとまっていったのだが、いざ文字に書こ うとすると、どうも自分の想念が手からすり抜けていくようで、なかなか文章に定着させる ことができなかった。それは頭の中にあるものの多くは自分の「思いつき」で止まっていて、 それを確認し検証するような作業が足りていなかったためだった。モンゴルの音楽家たちに 質問し、ディスカッションを重ねなければならない問題がまだたくさんあると痛感した。 当時、手紙か電話、FAXしか連絡手段がない状況では、日本にいながら充分なやり取りを するのは困難だった。ノロヴバンザドらが日本に来てくれるのは年に一度くらいで滞在は一 週間程度だった。ゆっくり話ができるスケジュールでもない。しかも帰国して3、4年も過 ぎると、公演の手伝いを依頼されることも減り、来日を事前に知らされない時もあったので、 音楽家たちに面会するのもひと苦労になってきた。そこでもう一度、短期間でもモンゴルに 行かなければと思い、その方法を探し始めた。
何か留学、渡航の助成を受けられないかと探したが、大学院在籍などの資格が必要なもの ばかりで、当時は学部を卒業しただけの身にそうした手段は得られなかった。
それでも、どうしても直接、モンゴルの音楽家たちと話をしなければならない、そうしな ければ何も書けそうにないと思い、なけなしの、本当になけなしの資金をかき集め、夏場の 間だけモンゴルに滞在する算段を取りつけた。’97年のことだった。(つづく)
モンゴル学習支援事業&箕面市アサンプション国際小学校 その1
~子どもたちからお手紙が届きました~
モンゴルパートナーシップ研究所 斉藤 生々様
この度は、アサンプション国際小学校に、モンゴル体験授業のためにご来校くださりあり がとうございました。
モンゴルの文化に初めて触れる子どもたちの目は、とても輝いておりました。子どもたち の感想のなかには、もっとモンゴルのことを学びたい、人を学びたい!という学ぶチャンスの 入り口に立った子どもたちがいることがわかりました。
二年生にとっては、現在学習中の『スホーの白い馬』に繋がる大切な学びの機会となりま した。
三年生は、さすがで、一年経って学びを振り返り次の学びにつなげていこうとする姿が見 られました。
ゲルを実際に建てて頂いたことで、ゲルの全ての部分が生活そのものと関わり合っている ことを子どもたちは、実感できたのだと思います。
私たち、教師も、様々な情報をいただき、また、よりモンゴル文化を子どもたちとともに 学んでいただきたいという思いになりました。
昨年、ユネスコスクールとして認定されましたので、今後も子どもたちの想いを将来の活 動につなげていけるように努力したいと考えています。
今後とも、是非お世話になりたいと考えております。また、来年の 2 年生の活動につ いて、改めてお願いのご連絡をさせて頂きたく存じます。よろしくお願い申し上げます。
今年のインフルエンザの罹患率が非常に高いように思います。MoPI のみなさまも、寒さが 益々厳しい折、ご自愛くださいませ。
みなさまのますますのご発展、ご活躍をお祈り申し上げます。
2018年2月6日 聖母被昇天学院 アサンプション国際小学校 佐々木 扶実子
MoPI例会 & 新年会報告
(村上 雅彦)
開催日 :2018年1月28日(日) 場所 : 北京料理 徐園本店
参加者 15名
小長谷理事長 挨拶
昨年度 MoPI 活動レビュー、特にチベット仏教の生き仏“アジャ・リンポチェ8世の昨年10月大阪講演の紹介。 今年4月1日付にて出向されていました人間文化研究機構理事より国立民族学博物館教授
に戻られる事表明あり。 我々会員にとり従来通り大阪にて直接ご指導頂ける
Good News。
鈴木 聡さんの乾杯の音頭に引き続き、全参加者より の近況報告。
MoPI 通信190号にてもお知らせしましたモンゴル旅 行につき説明。今年6月18日~24日(暫定)1週間の予定で“ジンギスハーンの故郷草原”(首都ウラン バートルより東へ約180kmヘンテイ県デルゲルハ ーン村)で、ゲルに滞在して野生植物、満天の星の観察と、乗馬体験を楽しめる旅行を計画しております。 ヘンティ県は、モンゴル馬の産地として有名なところです。
現地の手配は MoPI メンバーのムーギーさんにお願いしています。往復飛行機のチケットは、 友人が代理店をしている KAL の格安便を考えております。具体的費用は、1~2ヶ月以内に ご連絡できます。参加希望者は、早めに事務局、又は担当の下記村上までご連絡ください。
事務局からお知らせ
(事務局 斉藤 生々)
MoPI総会のお知らせ
2018年4月8日(日)午後1時 開催場所:モピ事務所
詳しくは追ってご案内いたします。
モンゴル学習支援事業や新年会などで2018年変わりなく動き始めました。 モピには、いろいろな形で沢山の人たちがモピの活動に協力してくださっています。毎月のモピ 通信に寄稿してくださっている小林志歩さん、梶浦靖子さんのお二人の大変な労力にも感謝して います。引き続き、モピ通信の紙面でいろいろな活動報告が出来ますよう願っています。
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特定非営利活動法人 モンゴルパートナーシップ研究所/MoPI
事務所
〒617-0826 京都府長岡京市開田 3-4-35
tel&fax 075-201-6430
e-mail: mopi@leto.eonet.ne.jp
MoPI通信編集責任者 斉藤 生々
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