草原で学ぶ子どもたちへの具体的な「応援」のかたちです。
黒板プロジェクトの趣旨
モンゴル国では、草原の10年制、8年制学校の多くが創立当時のままの古い黒板を使用しています。都市と草原部との格差が著しく拡大していることが、モンゴルの現在の最大の問題です。MoPIは草原の子どもたちに新しい黒板を送るとによって、次代をになう勇気を届けるとともに、交流を深めたいと考えています。
日本で1枚2万円で寄付を受け付け、そのお金で新しい黒板を買い、モンゴルの10年制8年制の学校に配っています。
2014年度も黒板を無事に配布し終わりました。
黒板プロジェクトを開始してから 13 年が過ぎました。
2014 年寄付していただいた黒板は 5 枚です。数は少な くなりましたが、ずっと 13 年の間、継続して寄付して くださっている方々、新しい方、ご自分で黒板を見に 行かれる方々、どの黒板も寄付をくださった方の思い を込めて手渡しました。改めて、2014 年度寄付してく ださったみなさんにお礼を申し上げます。
今年はトゥブ県の学校とゴビスンベル県の学校に黒 板を配布することになりました。トゥブ県の学校はウ ランバートルからそう遠くないため、地方から移動し てくる生徒が増えているそうで、先生方から感謝の言 葉を伝えてほしいと頼まれました。ゴビスンベル県については、 寄付された方がモピ通信に訪問記を詳しく書いてくださってい ます。読ませていただいて、ぜひ多くの方が自分の黒板を訪ね て行ってほしいなあと思いました。
地方を訪ねて思うのは、国も少しは教育現場を考えるように なっているということです。でも今はまだインフラ整備など大 掛かりなプロジェクトが優先されているので、先生方の努力で 学校が動いている状況には変わりありません。私たちが黒板を 持って行って、いらないといわれるような状況にはまだまだ遠 いのが現状です。
これからどこまで続けられるのかわかりませんが、息の長い プロジェクトとして、来年も黒板を届けたいと思います。
(黒板報告は、2015年1月、モピ通信155号に掲載の予定でしたが紙面の都合で掲載できませんでした。)
2013 年度も黒板を無事に配布し終わりました。
黒板プロジェクトにご協力くださった皆さ まありがとうございました。
今年までの黒板配布表
2002 年から始まった黒板プロジェクトも 11 年が過ぎました。今年も人口流入が続くウラン バートル市周辺部の学校に配布させていただきました。地方から生活の向上を求めて移住し てくる人々は今も増え続けており、周辺部の学校は子どもたちであふれ、3 部制で授業が行わ れるほどになっています。
みなさんが寄付してくださった黒板はこれらのたくさんの子どもたちの授業で使われます。 黒板を届けたある学校の校長先生からは、「この学校を選んで来てくださってありがとうご ざいます。寄付してくださった方によろしく伝えてください」という言葉を預かりました。
経済的に発展しつつあるとはいえ、モンゴル政府は今は増え続ける生徒数をなんとかする ために、学校建設を進めることを第一にしているので、教育環境の充実などは今だ現場の先 生方に任されている状況です。70 年使った黒板は少なくなってはいますが、使っている学校 はウランバートル市内でもまだあり、黒板を持って行くと喜ばれる状況には変わりありませ ん。
息の長いプロジェクトとして、来年も子どもたちのところに黒板を届けたいと思います。
またこれからもどうぞよろしくお願いいたします。
2012年度も黒板を無事に配布し終わりました。
今年も黒板を寄付してくださったみなさまにまずお礼を申し上げます。
2012年は合計で21枚の黒板をいただきました。毎年寄付してくださる方が多く、本当にあ りがたく思います。これまで配布した黒板の合計枚数は 1527 枚になります。ご自分で学校に 届けた方が多かったのが今年の特徴かもしれません。地方の学校への黒板 7 枚はご自分で手 配されたか、届けられたものです。自ら届けてくださった方、ありがとうございました。
それ以外の黒板の配布についてですが、今年はウランバートル市内にある障害を持つ子ど もたちが通う学校 6 校と、ゲル地区にある学校1校に配布を行いました。障害を持つ子ども たちが通う学校は、モンゴル国ではウランバートル以外にはありません。地方にももちろん 障害を持つ子どもたちがいるのですが、特別学級としてクラスが作られていることも珍しい くらいで、ほとんどは自宅で過ごすことを余儀なくされているようです。 現在、これら6校 が障害を持つ子どもたちの教育を行っていますが、現場の状況は厳しく、ソビエト時代に教 育を受けた専門的な知識を持つ教員がそろそろ定年を迎える時期にきているということで、 その後の世代の教員の人材育成がなされておらず、困った状況を迎えつつあるということで した。
今年、モンゴルでは政権が変わり、障害を持つ子どもたちのケアについて、政府で話し合 われるようになりました。これまではオープンにならなかったこれらの問題が社会で語られ るようになってきています。障害を持つ子どもたち、その親たちへの支援がこれからさまざ まな形で行われることになってほしいと思います。
2011年度も黒板を無事に配布し終わりました。
2002年度も黒板を無事に配布し終わりました。
2002年夏 … 239枚
アルハンガイ、ウヴルハンガイ、ドントゴビ、ボルガン、ダルハン、エルデネト、
トゥヴの一部
2002年秋 … 53枚
スフバートル
2003年春 … 3枚
トゥヴの一部
2003年夏 … 177枚
ヘンティ、フヴスグル、セレンゲ
2003年秋 … 2枚
ウランバートル
計474枚配布しました。学校数は11県にわたって208校になりました。
2004年夏は、バヤンホンゴル県、ウムヌゴビ県に配布する予定です。
モンゴルの学校数
モンゴルの学校は低学年が4年生まで、高学年が5年から10年生までとなります。8年生を卒業すれば、一応、一区切りの教育が終わったと考えますが、それだけでは大学には入学できません。10年生を卒業すると大学入学資格を得られます。
2004年度からは11年生を設けることになっています。(新年度は9月に始まります)
ですので、学校には4年生だけ(いわゆる日本の小学校)の学校や、8年生までの学校、1~10年生の学校など、さまざまです。
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モンゴル国の学校はこれまで10年制でした(2005年度から11年制に移行)。
7歳で入学し、遠くに住む子どもたちは寮生活を経験します。
4年生までが通う小学校、8年生まで通える小・中学校、
そして高学年期をすごす高校が、それぞれ地域の中心地に建っています。
その多くは改修がすすまず、
何十年も使用しつづけた古い黒板をつかっている状態です。
経済への移行がはじまり、ちょうど10年余を経ました。
この間、日本は筆頭援助国としてさまざまなODA(政府開発援助)を
実施しましたが、都市と草原との生活格差はますます大きくなるばかりです。
私たちMoPI(モンゴルパートナーシップ研究所)は、
友人同志としての対等な関係に立って、
モンゴルの草原に生きる人びとを応援しようと、いくつかの活動をはじめました。
黒板プロジェクトは、草原で学ぶ子どもたちへの具体的な「応援」のかたちです。
草原の暮らしから多くを学んで生きる子どもたちがさらにより
広く世界への扉を開けるために、学校の黒板は重要な役割を果たすでしょう。
どうか、モンゴルの未来をになう子どもたちに投資してください。
そして、あなたの気持ちの届いた場所をたずねてください。
真剣に学ぶ姿をたずねてください。
私たち一人一人の行動が、平和の礎となるように。
MoPI理事小長谷有紀(国立民族学博物館教授)